前回の続き。
で、まあ中高生くらいから
自分のゲイネスについてはいくつか思うところがあるわけですが、
「自分がゲイだと気付いたきっかけ」ってのは難しいね。
今考えると、自分にとって印象深かったのは、
「気付いたきっかけ」よりも「受け入れたきっかけ」ってことだったねえ。
話は変わって、自分は予備校生時代に初めてゲイ雑誌を読みました。
当時の自分にとってはそんな本を読むだけでもドキドキな経験でしたが、
そのときに一番問題なのは、やっぱり、
どうやってゲイ雑誌を入手するかだったわけですよ。
当時は、小倉駅前の貧乏くさくて客の来ないうらぶれーた本屋と、
ちょっとタンカ市場よりのきれいで客がたくさんいるでっかい本屋と、
二件の本屋さんにゲイ雑誌は置いてありました。
雑誌の裏にこっそりはさんで買うか、
立ち読みで我慢するか、
それともいっそのこと万引きするか。
言うなれば、生きるべきか死ぬべきか、
当時の僕はどうやってゲイ雑誌を手に入れるかで
アホなくらい悩みました。
「つか俺こんな本を買ってもいいんだろうか、
買ったら俺、なんか遠いところに行っちゃうんじゃないやろか」、
そんな風に考えるくらい悩んだ気がする。
その頃僕には、ちょうど片思いしてた男がいたので、
それも含めて自分の今後の身の振り方に対して(おおげさ)とか、
ほんとにすっごくいろんなことを考えてしまいました。
で、本も買わないまま1週間くらい悩んだ後で、
それこそ、もう鼻血も出らんくらいに悩んだ後で、
最終的に、自分は以下のような結論を出しました。
うーん、それなりに色々と大変な道のりなわけやけどもさ、
別に犯罪とか悪いことしてるわけやないし、
人を好きになるちゅうのはいいことやし、
これはこれでいいんじゃないやろか。
他の人からどう思われるかはおいといて、
とりあえず自分くらいは、ちゃんと
自分のことを好きになってやらんといけんよなあ。
まあ一言でいうと、「これでいいんだ」ってことでしょうか。
というよりも、むしろその時は、
「ここで俺、自分から逃げたらいかんよ!」ってくらいまで思ったんよね。
で、結局、
でっかくてきれいな方の本屋で!
ゲイ雑誌(さぶ)を一冊だけ!
あえて表紙からドカンと!
レジに持っていって買ったのでした。
それはまるで「俺はホモ雑誌買うんじゃ。文句あっか!」くらいの勢い。
逆にそれっておかしいくらいに気負いすぎなんだけれども、
とりあえず僕はそうやって、初めてのゲイ雑誌を入手したのでした。
たかがゲイ雑誌一冊買うのにこんな力こめて、
今の自分だったらおかしくて笑えるくらいなんだけれども、
ひとまず僕は、予備校時代にそうやって
ゲイアイデンティティ獲得の一歩を踏み出したんだな。
その後はバイ気取りの中途半端な時期があったわけだけれども、
自分の「男が好きだ」という部分を認めてあげたという意味では、
初めてのゲイ雑誌購入は、自分にとって
大変よいきっかけだったんだと思う。